2024.12.23 (更新日:2024.12.23)
人材不足が深刻化する現在、従来の採用手法だけでは必要な人材を確保するのが難しくなっています。そんな中で注目されているのが「採用マーケティング」という新しいアプローチです。
これは、企業が欲しい人材を的確にターゲティングし、効果的な情報発信で応募者を引き寄せる戦略を指します。採用マーケティングを活用することで、企業は単なる求人活動から一歩進んで、自社の魅力を最大限に伝える「ブランディング」を実現できます。
本記事では、採用マーケティングの基本的な考え方や具体的な手法、成功事例を交えながら、その重要性と実践方法について詳しく解説。人材獲得に課題を抱えるすべての企業に役立つ情報をお届けします。
目次
採用マーケティングとは、企業が求める人材を確実に引き寄せるための戦略です。ターゲットを明確化し、効果的な情報発信を行います。採用マーケティングの導入を検討している担当者は、以下基本的な概要を理解しておく必要があります。
採用マーケティングとは、マーケティングの手法を採用活動に取り入れ、求職者に自社の魅力を効果的に伝え、応募を促進する活動を指します。ターゲット層を明確にし、戦略的なアプローチで候補者との接点を増やします。
従来の採用活動は、求人媒体への掲載や採用イベントを通じて応募を受ける「待ち」の姿勢が中心でした。
採用マーケティングは、「求職者に選ばれる企業」を目指し、SNSやコンテンツマーケティングを活用して積極的に接触し、自社に興味を持たせる「攻め」の姿勢が特徴です。
採用ブランディングは、企業の長期的な魅力形成を目的とし、企業文化や理念を求職者に理解してもらうことに重点を置きます。
採用マーケティングは、短期的な応募数増加や特定ポジションへの応募促進を目的とする、実践的な手法に焦点を当てています。
これらを組み合わせることで、効果的な採用活動が実現できます。
では、なぜ今、採用マーケティングが注目されているのでしょうか。
少子化に伴う労働力人口の減少により、企業間で優秀な人材を獲得する競争が激化しています。その結果、従来の求人広告や採用イベントだけでは応募者を集めるのが難しくなり、採用マーケティングの重要性が増しています。
インターネットやSNSの普及により、採用手法が多様化しました。企業は、求職者が日常的に利用するプラットフォームを活用し、自社の魅力を効果的に発信する必要があります。採用マーケティングはこれらの手法を戦略的に活用するアプローチです。
新卒採用は大学3年生時点での活動開始や内々定の早期化、さらにフォロー期間の長期化が進んでいます。企業は継続的に接点を持ち、候補者の関心を維持するためにマーケティング的視点での取り組みが求められています。
上記のような理由から、採用マーケティングの重要性と取り入れるメリットが注目されています。
採用マーケティングのメリットは、効率的に優秀な人材を確保し、採用コストの削減や企業ブランドの向上を実現する点にあります。
具体的には以下のようなメリットがあります。
採用マーケティングは、自社の魅力や特徴をSNSやブログ、動画コンテンツなどで発信することで、幅広い求職者にアプローチが可能です。これにより、企業の認知度が高まり、優秀な人材からの注目を集めやすくなります。
採用マーケティングでは、具体的な仕事内容や企業文化を求職者に伝えることを重視します。これにより、企業側と求職者の相互理解が深まり、入社後の早期離職を防ぎ、定着率を向上させる効果があります。
効果的なマーケティング活動を行うことで、ターゲット層にピンポイントでアプローチが可能となり、無駄な求人広告やエージェント費用を削減できます。また、自社運用の採用活動が活発化することで、総合的なコスト効率が向上します。
では、実際に採用マーケティングを行うとなった場合、求職者層についても理解しておく必要があります。求職者層を理解することで、各ターゲットに見合った訴求をすることができるからです。
とりわけ以下の求職者層と採用マーケティングの関係については、しっかりと理解しておく必要があります。
採用マーケティングでは、転職を考えている顕在層だけでなく、転職を具体的に検討していない潜在層も重要なターゲットです。潜在層に対しては、自社の魅力や業界でのポジションをアピールすることで、将来的な応募者になってもらう可能性を高めます。一方、顕在層には、具体的な求人情報や応募のメリットを強調することで、即時的な応募を促進します。
退職者(アルムナイ)は企業文化や業務内容をすでに理解しているため、再雇用の際のミスマッチが少なく、早期戦力化が期待できます。採用マーケティングにおいて、アルムナイ向けのコミュニケーションやネットワークを構築することは、採用コスト削減や定着率向上に貢献する戦略として注目されています。
アルムナイとは、企業や団体の退職者や卒業生を指す言葉で、主に元従業員や組織の一員だった人々を意味します。アルムナイネットワークは、こうした退職者と組織の関係を継続的に維持するための仕組みです。企業にとっては、退職者との良好な関係を保つことで、再雇用や新規ビジネス機会の創出、ブランド価値の向上を図ることができます。
また、アルムナイ自身も、ネットワークを通じて新たなキャリア機会や情報交換の場を得られるため、双方にとってメリットのある関係といえます。
実際に採用マーケティングを導入したら、どのような流れで進めていけばいいのか。ターゲット設定から施策実行、効果測定まで、成功に導くための具体的な手順を解説します。
自社の採用状況、企業文化、強みや弱みを詳細に分析します。過去の採用データや社員の声をもとに、どのような人材が組織にフィットするのかを明確にします。
採用したい理想的な人材像(ペルソナ)を明確にします。年齢、性別、スキル、価値観、キャリア志向などを具体的に設定し、ターゲットに響く採用施策を計画します。
同業他社の採用方法や強みを調査し、自社の競争優位性を洗い出します。自社独自の魅力(例:柔軟な働き方、成長環境)を整理して訴求ポイントを強化します。
自社の魅力を基に、ペルソナに響く採用メッセージを設定します。例えば、「社員が自己成長できる環境」や「多様性を尊重する職場」など、企業の価値観を伝えるコンセプトを設計します。
採用メッセージを届けるための最適なチャネル(SNS、求人サイト、イベントなど)と施策を選定します。ターゲット層に合ったメディアを活用することが重要です。
選定した施策を実行し、その成果を分析します。応募数、内定率、ターゲット層とのマッチ度を検証し、効果的な施策を継続、不足点を改善して採用マーケティングを強化します。
そのほか、以下フレームワークやツールを取り入れることで、採用活動をより効率的かつ効果的に行うことができます。
市場の競争が激化する中、フレームワークとツールを駆使することで、他社との差別化を図り、優秀な人材を確保するチャンスを広げます。
これらの理由から、採用マーケティングにおいてフレームワークとツールの活用は欠かせない要素と言えます。
フレームワークは、活用することで採用マーケティングの全体像を整理し、明確な戦略を立てることができます。また、導入することで、適切なターゲット層に効率的にアプローチできます。
ここでは、フレームワーク: 3C分析, 4P分析, SWOT分析についてそれぞれ解説します。
3C分析は、採用マーケティングにおいて「市場環境(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3つの観点から状況を分析する手法です。
マーケティング戦略の構築に有効な4P分析を採用活動に応用し、「商品(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「プロモーション(Promotion)」で自社の採用戦略を整理します。
SWOT分析では、自社の採用における強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を整理します。
これらのフレームワークを活用して、効率的かつ効果的な採用マーケティング戦略を立案できます。
採用マーケティングツールは、業務効率を大幅に向上してくれます。採用プロセスの一部をツールに任せることで、人事担当者は重要な戦略や応募者対応に集中できるようになります。
たとえば、分析ツールは、応募者の動向や反応をデータとして可視化し、改善点を見つけ出せます。採用活動の効果測定を可能にできるのが最大のメリットです。また、プラットフォームでは利用者に効率的なアプローチが行えます。
ここでは、 HubSpot, Wantedly, Twitterなどについて解説します。
HubSpotは、採用活動における候補者管理やマーケティングオートメーションツールとして利用できます。
Wantedlyは、企業のカルチャーやビジョンに共感する候補者を集めるプラットフォームです。
Twitterは、企業の認知度向上やターゲット層への情報発信に適しています。
これらのツールを組み合わせることで、ターゲット層に効果的にアプローチし、効率的な採用活動を実現できます。
こちらでは、採用マーケティングの代表的な手法をご紹介します。
実際の社員の声を活用した記事シリーズを展開する方法です。
入社の決め手や成長ストーリーを詳しく紹介します。
「転職体験談」「キャリアチェンジ」などの検索キーワードに対応し、具体的なエピソードを交えることで信頼性と共感を獲得します。
求職者が知りたい業界情報を提供する手法です。
「エンジニア 年収相場」「マーケター 需要」などの検索意図に対応し、最新の市場データや統計を活用して信頼性を高めます。
また、その職種で活躍するために必要なスキルや資格情報も併せて紹介、
どちらの事例も、求職者が実際に検索するキーワードを意識しながら、具体的で役立つ情報を提供することがポイントです。
独自の制度や特徴的な福利厚生を詳しく説明し、
実際の利用例や社員の声を交えて具体的に紹介します。
「働き方改革」「ワークライフバランス」などのキーワードに対応し、これらの記事は、求職者が実際に検索するキーワードを意識しながら、具体的で価値のある情報を提供します。
以下でご紹介するこれらの事例は、各企業が自社の強みを活かし、求職者との接点を増やすための工夫を行った結果、採用活動の成功につながったものです。これらの事例は、ストーリーテリング、デジタルマーケティング、最新技術の活用が成功の鍵であることを示しています。
LINE株式会社
リファラル採用の強化: 社員からの紹介による採用を推進し、社内での情報共有を徹底。協力した社員には手当を支給するなどの仕組みを整備し、人材紹介会社経由の約10倍の人材確保に成功しました。
アカリック
ヤマハ株式会社
社員インタビューの活用: 採用ページに各部署の社員インタビューを掲載し、企業文化や働き方をリアルに伝えることで、求職者とのミスマッチを減少させました。
アカリック
合同会社DMM.com
オウンドメディア「DMM INSIDE」の運営: 社内の様子や社員の声、新規事業の情報を定期的に発信することで、求職者に具体的な企業像を伝え、採用活動の活性化に成功しました。
トヨタ自動車
ナラティブ採用戦略:トヨタは「ナラティブ採用」を実践し、企業の歴史や未来のビジョンをストーリー形式で伝える戦略を採用しました。このアプローチは特にミレニアル世代やZ世代の関心を引き付け、高い応募率を実現しました。
楽天
採用ブランディングの強化:楽天では、社員インタビューや動画コンテンツを駆使して、職場環境や企業文化を発信。これにより、自社にフィットする人材をターゲットに絞った効率的な採用を可能にしました。
パナソニック
AI活用の効率化:パナソニックはAIを活用して応募者データを分析し、採用プロセスを効率化。候補者に合わせた適切な情報を発信することで、採用の精度と応募者の満足度を向上させました。
上記では大手企業の事例をご紹介しましたが、中小企業の成功事例として、当社の採用をご紹介します。
株式会社WonderSpaceが2022年卒の新卒採用において、約53万円の予算で17名の採用を実現しています。採用ブランディング全盛期の中、当社は採用マーケティングを採用し、就活生のニーズに応える選考フローを構築しました。その結果、採用単価約3万円という低コストでの大量採用を達成しています。
就活生の課題と選考フローの設計、採用コンセプトの策定、求める人物像の定義、志望度を高める選考フローの構築など、選考を進める中で求職者の志望度が高まり、最終的に内定承諾につながる仕組みを構築しました。
詳細な手法や具体的な事例については、以下の記事でご紹介していますのでぜひご覧ください。
https://note.com/sarunokino/n/n1f1ea068c518
次は、同じく株式会社WonderSpaceが、TikTok広告を新卒採用に活用し、5万円の予算で75人のLINE登録を獲得した事例です。
TikTokで4パターンの動画広告を作成し、最も成果の良いものに予算を集中させる運用を行いました。その結果、5万円の予算で75人のLINE登録を獲得。1人当たりの登録単価は約700円となりました。これは、合同説明会での登録単価約3,000円と比較して、約4分の1のコストで済んでいます。
こちらは、TikTok広告を活用することで、低コストで効果的に新卒採用活動を行うことが可能であることが示された成功事例です。TikTok広告の特性や、実際の広告作成から配信までのプロセスは以下の記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
https://note.com/sarunokino/n/nf3b1333bbe7a
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採用マーケティングは、単なる採用活動にとどまらず、企業のブランド価値向上や長期的な人材確保などを可能にする戦略です。ターゲット層に合わせた情報発信、SNSやデジタル広告の効果的な活用、そして魅力的な採用ブランディングが成功の鍵となります。
今後、採用マーケティングはテクノロジーやAIの進化と共にさらに発展し、企業の競争力を左右する重要な要素となるでしょう。自社に合った戦略を取り入れれば、必要な人材を確実に獲得する体制を整えることも可能です。
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