士業
2024.11.29 (更新日:2024.11.29)
税理士として独立することは、多くの税理士にとって夢や目標の一つですが、その一方で「独立しても食えない」という厳しい現実も耳にすることがあります。しかし、原因を理解し、適切な対策をすることで、安定した経営を実現することは十分可能です。
この記事では、下記内容に沿って、税理士が独立後に「食えない」と言われることに必要な情報をまとめています。
・税理士が独立後に「食えない」と言われる原因
・税理士が独立後に成功するために必要なポイント
・独立して「食える税理士」になるために知っておくべきこと
税理士の集客法について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
税理士の集客で有効な方法6つ!顧客獲得のために行うべき行動を解説
税理士としてのスキルや知識は重要ですが、独立して成功するためにはそれだけでは不十分です。まずは、税理士が独立後に「食えない」となる主な理由を解説していきます。
税理士の全体数は年々増加の一途をたどっており、独立税理士の収入に大きな影響を与えています。
また、会計ソフトの普及により、単純な記帳代行や確定申告業務だけでは、十分な収入を得ることが難しくなってきています。特に、開業間もない独立税理士にとっては深刻な課題です。
既存の顧客基盤を持たないまま開業すると顧客獲得に苦労する一方で、事務所運営費用は毎月必要になるため、経営が安定するまでの期間が長期化する傾向にあります。
参照:日本税理士会連合会「税理士登録者・税理士法人届出数(令和6年3月末日現在)」
会計ソフトウェアの登場により、基礎的な経理業務の多くがクラウド会計システムで自動処理できるようになってきました。請求書や領収書のスキャンだけで仕訳ができるようになり、決算書や申告書までAIが作成する時代になりました。
独立税理士がこれまでの記帳代行や申告書作成のみに依存したビジネスモデルを続けることは、収益面で大きなリスクになります。
今後は、AIではできない税務判断や事業承継・相続対策といった専門性の高い分野でのフォローが求められるようになっています。
税理士業界では、大手税理士法人の台頭により、価格競争が厳しくなっています。格安プランが普及し、独立税理士が価格競争に巻き込まれやすくなっているのです。
また、インターネットの普及により相場が可視化され、オンライン完結型サービスにより、地域密着型の営業がしにくくなっています。この結果、利益の確保やサービス品質の維持が難しくなり、競争が厳しくなっているのです。
税理士業界では定年制度がなく、70代でも現役を続けるベテラン税理士が多いのが現状です。ベテラン税理士は長年の信頼関係と実務経験があるため多くの顧客との繋がりがあり、若手税理士が新規顧客を獲得する機会が限られるケースもあります。
特に地方では既存税理士が顧客を囲い込むケースもあり、世代交代が進まないこともあります。
多くの税理士は営業スキルが不足したまま独立するケースが少なくありません。大手税理士法人では既存顧客対応が中心で、新規顧客開拓の経験が乏しいことが多く、また、「営業」に対する心理的な抵抗がある税理士も多い傾向です。
営業スキルが不十分のまま独立すると、新規顧客の獲得や価格交渉の難しさなどに直面することになります。独立後の安定的な経営には、営業スキルの向上が不可欠です。
税理士事務所の廃業率と休廃業・解散率
税理士事務所の廃業は増加傾向にあります。株式会社帝国データバンクが発表した2023年の全国企業「休廃業・解散」動向調査によると、業種別で廃業件数が前年に比べて最も大幅に増加したのが「税理士事務所」でした。
具体的には、2022年の30件から2023年には81件と170.0%増加しています。
また、休廃業・解散率でも、税理士事務所は業種別で4位という高い順位にランクインしています。
税理士が独立して成功するためには、税務知識だけでなく、経営戦略やマーケティングのスキルが重要なポイントとなります。
参照:株式会社帝国データバンク「全国企業「休廃業・解散」動向調査(2023)」
税理士が独立して「食える」ためには、単に税務知識を持つだけでなく、差別化、営業力などのことを考慮する必要があります。ここからは、独立して安定した経営を目指すために必要なポイントを解説します。
税理士が独立後に安定した経営をするためには、他の事務所との差別化が重要です。自分の強みや専門性を明確にし、積極的にアピールしていきましょう。たとえば、特定の業種に特化したサービスや、オンライン相談といった効率的なサポートなどが挙げられます。
また、得意分野を深めて専門性を高めることで、他の税理士との差別化も図れます。
積極的に紹介や新規営業を行い、新規顧客の獲得に努めることが求められます。営業活動は継続的に行うことが必要です。提案や交渉スキルを向上させ、営業力を高めることで、顧客との信頼関係が強化され、事務所の安定に繋がります。
営業力を鍛えて自分の提供する価値を明確にし、顧客に伝える方法を学ぶことが重要です。
顧問料を決定する際には、サービスの価値をしっかりと反映させることが求められます。顧問料が安すぎるとサービスの質が疑われることがあり、逆に高すぎると顧客の獲得が難しくなります。
相場を確認しながら、自分の専門性や経験、サービスの価値を明確に伝えることが大切です。
また、料金設定は顧客のニーズや規模に合わせた柔軟なプランを用意する方法もあります。例えば、複雑な案件には高めの料金を設定し、基本的なサポートに対してはリーズナブルな価格にするなどが挙げられます。最適な料金設定を考え、顧客に合わせてスムーズな提案ができるようにしましょう。
ここからは、税理士が独立後に安定して食べていけるために知っておくべきポイントを詳しく解説します。
事務所を立ち上げたばかりの時期は、顧客との信頼関係をつくるのに時間がかかることが一般的です。また、リピーターや紹介を得るには時間もかかります。
最初の数ヶ月〜数年は安定した収入を得るまでに苦労するかもしれませんが、その時期を乗り越えるためには、コスト管理や効率的な業務運営が求められます。
また、専門分野を絞り込んだり、ニッチな市場をターゲットにしたりするなど、差別化を図ることも重要です。長期的な視野を持ち、確実に顧客を増やしていくための努力を継続することが求められます。
税理士として独立後に成功するためには、顧客との信頼関係を構築することが非常に重要です。税理士業務は、専門的な知識とアドバイスをすることだけでなく、顧客との信頼関係が大きな影響を与えます。顧客が信頼できる税理士を選ぶ際、知識やスキルはもちろんのこと、誠実さや対応力も大きなポイントになるからです。
信頼関係を築くためには、まずは顧客の立場に立ったアドバイスを心がけ、顧客が安心して任せられる存在であることを感じてもらうことが重要です。また、連絡やフォローを通じて顧客とのつながりを強化し、長期的な関係を維持することが、安定した経営に繋がります。
税理士として独立する際、短期的な利益を追求するのではなく、長期的な視点で経営することが重要です。独立初期は収益が安定しないことも多いです。焦って目先の利益を追い求めると、値引きや過剰なサービスなど、経営を圧迫してしまう可能性があるため注意が必要です。
長期的な視点で経営するためには、顧客満足度の向上や、質の高いサービスを心がけることが不可欠です。また、営業活動やマーケティングも一度に成果を求めるのではなく、時間をかけていくことが求められます。安定したキャッシュフローのために、無理なく利益を上げる仕組みを作ることが大切です。
税理士が独立して「食えない」と言われる背景には、競争激化やAIの進化による業務の変化、営業スキルの不足などの理由があります。特に、独立後の成功には営業力を高める努力が欠かせません。
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