AdVenture Space
2023.12.15 (更新日:2023.12.15)
カンヌライオンズ2023のアウトドア部門シルバー。
トロントの都市部にできる新店舗のプロモーションのために行われたキャンペーン。IKEAの家具を使っている家をそのまま広告にし、広告費をその家の住民に支払うというもの。
出典:https://youtu.be/KW7fCfL-sxI
・物価の上昇により買い控えが起こる可能性がある
・トロントに住む、物価上昇に悩むミドル世代
・何か商品を買うことで得した感情を得たい
・労働以外の収入があると嬉しい
・近所の人が使っていると信用できる
・実際の家、景観で見ることができると商品イメージがつきやすい
普通では広告を出せない家をメディアに変換
個人宅を広告媒体にするケースはほぼないため、普通に広告を出稿するよりも費用を抑えられると考えられる。IKEA側は新しくショールームを作ったり、広告を出すよりも安い価格で個人宅を自社のショールームにすることができ、より多くの場所で商品の宣伝ができる。
家の住人は自分の家が広告になるので手間やコストをかけなくても広告費が入ってくる。入った広告費でまたIKEAで商品を購入してくれるかもしれない。広告出稿をきっかけに、IKEAとユーザーとの結びつきが強くなると考えられる。
道行く人からするとIKEAの商品を使っている家が広告になって広告収入を得ている=自分もIKEAで商品を購入したらIKEAから広告費として還元されるのではないかと考え、IKEAで商品を購入すると得かもしれないと思うだろう。人には損したくないという心理があるので、IKEAの商品を購入することで広告費として還元、またはそれ以上の利益を得られるかもと考えたときに、店舗に足を踏み入れたくなるのではないか。
また、家具は店舗に足を運ばないと実物を見れる機会はほぼないが、家をショールームにすることで店舗に行かなくても商品を目にすることができる。実際に個人宅で使われている様子を見ることで、家で使うイメージがしやすくなり、商品に興味を持ってもらいやすくなるのではないか。またこの広告は都市部の様々な家で実施された。異なるライフスタイルの家でIKEAの商品が使われているところが見れることで、Made for downtown living (都市部の生活のために作られた) というコピーに説得力が増す。
広告費を抑えつつもユーザーが店舗に足を運びたくなる仕組みを作り上げたところにこのキャンペーンの凄さがある。
来店者数が41%増加、3100万インプレッションを獲得した。
※個人の見解です。