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2023.11.13 (更新日:2023.11.13)
2023年モバイル部門のグランプリ。
ワールドカップに合わせて、デリバリーサービスのPedidos Yaがアルゼンチンで行ったキャンペーン。
2022年のワールドカップでアルゼンチン代表が36年ぶりに優勝し、アルゼンチン国内は熱狂に包まれていた。
そんな中、デリバリーサービスのアプリから ”Your order is on the way”(注文の品を配達中です)との通知が。
出典:https://youtu.be/WoGh0-RlrI8
デリバリーを注文した覚えのないユーザーがアプリを開くとそこにあったのはワールドカップのトロフィーの配達通知だった。
・アプリのダウンロードはされているものの、実際に注文する人が少ない
・アプリをダウンロードしている人
・初回注文はしたけれどそれ以降は使っていない
・アプリ数が多すぎてどのアプリをダウンロードしたか把握しきれていない
・アプリの通知がうるさい
・ワールドカップ×アプリの通知
→国民が熱狂しているイベントと自社アプリを絡めたキャンペーンを行うことで、嫌悪感を抱かせることなく人々にアプリの存在を思い出してもらうことができる。
・アプリの通知の活用
→広告を出すのにはお金がかかるが、自社アプリの通知を使うことで広告費を書けずに多くの人にリーチできる。
・トロフィーが届く様子がリアルタイムで見れる
→商品を頼んでいないのに通知が来たらつい開いてしまうし、アプリを開いた先にトロフィーが自国に近づいている様子が見れたらワクワクする。
また、始めはSNSでクレームを投稿するユーザーもいたものの、トロフィーが届く様子だと分かると熱狂に変わった。この感情の落差がトロフィーが届くワクワク感をより強くしているのではないか。
600万人が通知を受けとり、広告費ゼロで国民の半数にリーチすることに成功。
Twitter(現在はX)で#PedidosYaがトレンド入りするほどSNSでも話題になった。
課題:W杯36年振りの優勝を果たしたことにより国中が湧いたイベントを活用したPR手法について考える必要があった
ターゲット:Pedidos Yaをダウンロードしているアルゼンチン出身のユーザー
ターゲットインサイト:注文していないはずなのに注文されている=お金が発生する可能性がある!?という不安からアプリを立ち上げてしまうが、アルゼンチン国民が長年欲しかったものW杯の優勝を祝う内容でほっこり
コアアイディア:デリバリーサービスの普段の流れ(注文、注文ステータスの追跡、到着予想時間のお知らせと通知)を利用してアルゼンチンのW杯優勝をみんなでお祝いできるイベントに昇華することで、ユニークかつアルゼンチンに対しての思いの強い会社というブランディングにも成功している
課題:国民の半数以上がダウンロードしているにもかかわらず、大半が休眠顧客
ターゲット:アルゼンチンの全国民(既にアプリを入れてる人も、入れてない人も)
→入れてる人はもう一度頼もうとなるし、入れてない人は話題を聞いて何それ入れてみよう!という気持ちになる
ターゲットインサイト:ワールドカップのドキドキ感や優勝の喜びをもう少しだけ味わいたい
→ワールドカップは終わったけれど、優勝杯が届くまでドキドキワクワクが続く
コアアイディア:ずっと欲しかったものがあと少しで届くという喜びを疑似体験させる
世の中の注目度が高い事柄にただ便乗して収益を得るのではなく、その事柄に対してユーザーが欲しいであろう情報を提供することで好感度やブランドのイメージ向上に繋がり、「ユーザーから選ばれるサービス」にすることができるのではないかと感じた。
ここまで国民を巻き込んでワクワクさせられるようなキャンペーンをしたサービスであれば今後も面白いことをしてくれるのではないかと期待が高まるので、アプリのアンインストール率も下がるのではないかと考える。
世の中が何に関心を持っているのか、それに対して自社・自社サービスで提供できるのは何かという視点を大事にしたい。
※個人の見解です。