士業
2024.11.29 (更新日:2024.11.29)
「弁護士として独立するために、どのくらいの費用が必要なのだろう?」
「独立開業のために必要な準備は?」
弁護士として独立を考えた際、上記のようにお悩みの方は多いのではないでしょうか。
独立開業のためには初期費用だけでなく運転資金も必要です。
この記事では独立のために必要な費用と資金調達の方法、独立後に失敗しないための準備について解説します。
弁護士として独立するためには集客が必要不可欠です。
集客に関して不安をお持ちの方は、以下の記事も合わせて参考にしてください。
目次
弁護士が独立して自身の法律事務所を開設するには、初期費用としてさまざまな支出が必要です。
日本弁護士連合会によると、自宅開業の場合は50万円程度、事務所のテナントを契約する場合は100〜300万円あれば開業可能としています。
ここでは弁護士が独立するために必要な初期費用について解説します。
参考:https://www.nichibenren.or.jp
事務所を借りる場合、賃貸契約に伴う初期費用が発生します。
東京都内で事務所を借りる場合の平均賃料は以下の通りです(2024年10月時点)。
エリア | 平均賃料 |
渋谷区 | 23,861円/坪/月 |
千代田区 | 21,716円/坪/月 |
港区 | 19,780円/坪/月 |
新宿区 | 18,531円/坪/月 |
中央区 | 18,294円/坪/月 |
東京23区は特に賃料が高い傾向にあります。
全国の主要都市のオフィス賃料の平均は以下の通りです。
エリア | 平均賃料 |
大阪市北区(2024年11月時点) | 17,150円/坪/月 |
神奈川県横浜市(2024年11月時点) | 20,000円/坪/月 |
愛知県名古屋市(2024年11月時点) | 17,562円/坪/月 |
福岡市中央区(2024年11月時点) | 16,659円/坪/月 |
札幌市中央区(2024年9月時点) | 23,450円坪/月 |
事務所を借りる他にも、自宅開業やレンタルオフィスを利用し弁護士として独立する方法もあります。
自宅開業の場合、打ち合わせのみレンタルオフィスや弁護士会館の打ち合わせ室を利用するのも可能です。
事務所を借りた後、法律事務所としての機能を持たせるために内装工事が必要です。
具体的な内装工事の内容は以下の通りです。
どのような内装にするかによって必要な工事は変わりますが、ある程度の費用が必要でしょう。
法律事務所を開業するにあたり、パソコンなどの機材やオフィス用品など備品が必要です。
開業前に揃えたい機材やオフィス用品は以下の通りです。
中古品を選んだりレンタルサービスを利用したりすることで、初期費用を抑えられます。
開業にあたって事務員を雇用する場合、求人にかかる費用が発生します。
ハローワークやホームページ、求人サイト、大学の就職課などを使って求人を出す必要があります。
採用後の研修費用も考慮しておくとよいでしょう。
集客ツールとして重要なホームページの作成費用も初期費用として考慮する必要があります。
デザインや機能性によって、ホームページの制作費用は変化します。
開業後もホームページの更新や保守、SEO対策などの費用が必要になることを念頭に置きましょう。
弁護士が独立・開業した後も継続的にさまざまな費用が発生します。
事務所経営の安定化のために、これらの費用を適切に管理することが重要です。
法律事務所を開業した後、継続的に発生する費用について解説します。
事務所を契約した場合、毎月の家賃が必要です。
法律事務所を経営していく上で家賃の負担は大きいため、しっかりと計画を立てる必要があります。
事務所の家賃は立地によって大きな差があるため、集客や競合事務所との兼ね合いも合わせて事務所の場所を選びましょう。
事務員を雇用する場合、毎月の給与が固定費として必要です。
給与は法律事務で年収400〜500万円程度、一般事務では年収250〜400万円程度を考えておきましょう。
ホームページの運営や広告出稿などの広告費が必要です。
費用対効果を見極めながら必要な広告を出すことで集客につながります。
事務所の経営にはさまざまな消耗品や通信費が必要です。
事務所の規模によって支出額は変わりますが、毎月これらの支出が発生することを想定しておきましょう。
弁護士として独立するために開業資金の融資を受けた場合、返済にあてる支出が継続的に発生します。
事務所を経営する上で開業資金の返済は大きな負担となるため、自己資金をある程度用意しておくと安心です。
弁護士が独立する際の資金調達には以下の方法があります。
それぞれ解説します。
独立開業までに貯蓄した資金を開業資金にあてる方法です。
開業準備の費用に加え、開業後数ヶ月の運転資金を用意する必要があります。
融資を受ける方法もありますが、法律事務所を経営していく上で毎月の返済は負担になります。
弁護士として独立を考えはじめたら、まずは自己資金を増やすことを意識しましょう。
日本政策金融公庫や銀行、信用金庫などの金融機関から融資を受ける方法です。
審査を通過する必要があるため、事業計画をしっかりと立てることが重要です。
収支予測や返済計画を明確にすることで、金融機関からの信頼を得やすくなる可能性が高まります。
地方自治体によっては、中小企業支援や起業支援として事業ローンを行っているケースがあります。
東京都、大阪府、福岡県では以下のサイトで事業ローンについて記載しています。
各自治体によって事業ローンの内容が異なるため、開業予定の自治体の情報をチェックしてみましょう。
法律事務所を弁護士が少ない地域で開業する場合、日本弁護士連合会の「弁護士偏在解消のための経済的支援」という制度を利用できます。
開業支援のための費用を最大350万円を上限に無利子で貸付を受けられます。
詳細は日本弁護士連合会のウェブサイトで確認できるので、一度確認してみましょう。
弁護士協同組合に所属している場合、融資の斡旋を受けられる場合があります。
組合への入会金が必要ですが、専門家による支援を受けられるメリットがあるため入会を検討してもよいでしょう。
弁護士が独立するためには費用以外にも、さまざまな手続きや準備が必要です。
開業費用以外に必要な準備について紹介します。
弁護士として独立するためには、資金の準備だけでなく独立計画を作成する必要があります。
独立計画の作成には以下の要素を含めることが重要です。
日本弁護士連合会の独立支援を活用することも検討しましょう。
日本弁護士連合会では、独立を目指す弁護士向けにさまざまな支援制度を提供しています。
支援制度を活用することで、よりスムーズな独立開業が可能になります。
詳しくは日本弁護士連合会のウェブサイトを確認してください。
参考:https://www.nichibenren.or.jp
弁護士として独立することを考えはじめたら、既存の顧客と信頼関係を構築することを意識し独立後も依頼を受けられるよう準備しておきましょう。
独立開業に理解のある法律事務所で経験を積み、人脈を広げる方法もあります。
独立によって所属する法律事務所を離れる際には、顧客だけでなく事務所の同僚に対しても配慮が必要です。
同僚に業務をしっかりと引き継ぎ、顧客にも説明を行うことで円満に退所するのが理想的。
独立開業後の評判にもつながるため、退所の準備をしっかりと行うようにしましょう。
弁護士の独立に関するよくある質問をまとめました。
弁護士が独立開業後に失敗するパターンとして、開業費用や運転資金が不足するケースがあります。
運転資金の見積もりが甘く、事業継続が困難になることも。
また新規顧客の開拓ができないケースや経営スキルが不足し事業の継続が難しくなるケースもあります。
独立を失敗しないために、十分な準備と計画が必要だといえます。
2003年版の弁護士白書によると経営弁護士の割合は64.6%、勤務弁護士の割合は21.3%となっています。
営業収入および給与収入の平均値は2,083万円、所得の平均値は1,022万円というデータから独立後の年収は1,000万円以上になるケースが多いと予想できます。
弁護士の独立開業は、5〜10年目に行うケースが多くみられます。
弁護士としての経験を積み、開業費用の準備や顧客との信頼関係構築などを進めた上で独立することが望ましいでしょう。
弁護士が独立・開業する際には事務所の開設費用や運転資金など一定の費用が必要になります。
独立に必要な資金を算出し、資金計画を綿密に立てることが重要です。
費用だけでなく顧客の獲得や円満な退所など、費用面以外の準備も欠かせません。
集客に対し不安がある方は、以下の記事も合わせて参考にしてください。