YouTube広告
2021.11.30 (更新日:2022.8.1)
YouTube広告は認知度向上や行動喚起など、目的に合わせて広告種類や課金方法を選べます。他の広告に比べて費用対効果も高いとされ、すでに大きな成果を上げている企業、個人事業者も増えてきました。しかし、YouTube広告を始めたいものの、費用面に不安がある場合も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、YouTube広告の動画制作や広告配信にかかる費用の目安、広告の種類や課金方法の特徴、重要なKPIなどを解説します。「認知向上」「比較検討を促す」「行動喚起」の3つの目的ごとに具体的な方法も解説しているので、費用面を含めた広告運用のイメージを持てるでしょう。YouTube広告をスタートする参考にしてください。
YouTubeで広告配信に必要な費用は、大きく分けると、動画制作にかかる初期費用と、広告配信にかかるランニングコストの2つです。これらの費用は制作する動画の種類やクオリティ、広告配信数などによって大きく変わります。ここではあくまで目安として、平均的な動画制作と広告配信の費用を紹介します。
動画制作は制作会社やフリーランスに依頼するか、自主制作する方法があります。それぞれの方法の費用目安は以下のとおりです。なお、凝った撮影や演出をする場合には、さらに高額になることもめずらしくありません。
制作会社 | フリーランス | 自社制作 | |
企画・構成 | 3~10万円 | 5,000円~1万5,000円 | – |
撮影 | 3~20万円 | 5,000円~1万5,000円 | 0~10万円 |
編集(ナレーション、BGM、アニメーションなど) | 3~30万円 | 5,000円~1万5,000円 | 0~5万円 |
マーケティング・広告運用支援 | 10~50万円 | – | – |
動画制作は制作会社に依頼するのが一般的です。フリーランスはコストが安いものの、スキルに幅があってリスクが高いうえ、ディレクションの手間も増えやすいからです。また、自主制作は撮影や動画編集など幅広いスキルが必要なので、ハードルが高くなります。
制作会社に依頼すると、商品の撮影とナレーション・BGMなどの簡易な動画広告なら、数万円から20万円程度で制作できます。一方、プロモーション用の凝った動画なら、30万円以上かかるでしょう。
成果を出すには、Webマーケティングの観点を取り入れることが重要です。そのため、YouTube広告の運用経験が乏しい場合は、マーケティングに知見のある制作会社を選んだほうがよいでしょう。企画・構成の段階から視聴者を増やす対策を取れるため、費用対効果を高められます。
YouTubeの公式サイトによると「ほとんどの企業が、1 日の予算をまず 1,000 円に設定してローカル キャンペーンを展開しています」ということです。つまり、月3万円程度の予算があれば、YouTubeで広告運用を開始できます。
出典:ビジネスに適した予算を設定する |YouTube Ads
また、インプレッション数(広告が表示された回数)を目安に、広告配信予算を見積もるのもよい方法です。信頼できる成果測定を得るには、最低でも1万インプレッションが必要とされています。
たとえば、YouTube広告のインストリーム広告の入札価格は2~30円なので、1万インプレッションを得るのに3~33万円程度の費用がかかります。より正確な分析をするには10万インプレッション以上が望ましいとされているため、30~330万円の費用が必要です。
YouTube広告の種類と課金方法は、以下のとおりです。
種類 | 課金方式 |
スキップ可能なインストリーム広告 | CPV |
バンパー広告 | CPMまたはCPD |
アウトストリーム広告 | |
マストヘッド広告 | |
TrueView ディスカバリー広告 | CPC |
各課金方式の特徴は次のとおりです。
費用対効果を高めるためには、マーケティングの目的に合わせて広告種類と課金方法を選択することが重要です。広告運用の目的は、大きく分けると、以下の3つに分類できます。
実際に広告運用する際は、何を目的にするか明確にすることが重要です。目的が複数ある場合は優先順位を付けましょう。それでは、目的に適した課金方法と種類を解説します。
認知のマーケティング施策に向く課金方式は、広告回数に応じて課金されるCPVまたはCPMです。認知度向上やブランディングの主な目的は、多くの人に広告を見てもらうことです。ターゲットを絞り過ぎずに配信数を増やすと、成果を得やすくなるでしょう。
認知のマーケティング施策に向くYouTube広告の種類は、マストヘッド広告、スキップ可能なインストリーム広告、バンパー広告、アウトストリーム広告の4つです。
マストヘッド広告は、多くの予算を確保できる場合におすすめです。YouTubeトップページ上部に表示されるため、短期間で多くのユーザーにアプローチできます。
スキップ可能なインストリーム広告でも、冒頭の5秒間は必ず視聴してもらえるため、最低限のメッセージを届けられます。しかも、スキップされると課金されないので、少ない資金でも認知度向上が可能です。ただし、不要な広告と思われるとネガティブなイメージを与えるリスクがあるため、ブランディングには向きません。
ブランディング目的なら、6秒間の動画をスキップ不可で見せるバンパー広告がおすすめです。バンパー広告は再生時間が短く、スキップ操作のストレスもないため、抵抗感なく広告を見てもらいやすいのが特徴です。ただし、短時間で記憶に残る内容にしなければならないため、広告制作の難易度は上がります。
拡散効果を狙うなら、スマホやタブレット向けアプリに広告配信できるアウトストリーム広告を活用するのもよいでしょう。SNSユーザーにもリーチでき、拡散されやすいことが特徴です。
比較検討のマーケティング施策に向く課金方式も、認知と同じくCPVまたはCPMです。ただし、自社商品に関心があるターゲットに絞り、訴求ポイントをしっかり伝えられる広告の種類を選びましょう。
比較検討を促す目的に向く1つ目の種類は、スキップ不可のインストリーム広告です。15 秒以内はスキップできないため、自社商品の強みを訴求しやすいことがメリットです。ただし、必ず課金またはカウントが発生することに注意しましょう。
2つ目の種類は、ディスカバリー広告です。ディスカバリー広告は特定のコンテンツを検索したときに広告配信できるため、ブランドの比較検討を促せます。
行動のマーケティング施策に向く課金方式は、クリックごとに課金されるCPDです。また、掲載日数で課金されるCPDも、キャンペーン開催中や年末商戦など、広告配信を強化したい期間が決まっている場合に向きます。
自社サイトへの遷移などの望ましい行動を起こしてもらうために有効な広告は、スキップ可能なインストリーム広告とTrueViewディスカバリー広告です。これらの種類には、「動画アクション キャンペーン」という仕組みが用意されているからです。
動画アクション キャンペーンはユーザーの行動喚起に特化した仕組みで、YouTubeとYouTube以外の動画パートナーの広告枠にキャンペーン広告を配信できます。ユーザーは広告に接触する回数が増えるほど行動に移りやすい傾向があるため、コンバージョンにつながりやすいことがメリットです。
また、動画アクション キャンペーンでは、「資料請求はこちら」などのCATボタンも配置できます。直接的なきっかけを与えられるため、売上向上や新規顧客開拓など、明確な結果を求める場合に向きます。
YouTube広告の費用対効果は、他の広告方法に比べて高いといわれています。主な理由は、次の4つのメリットがあるからです。
それぞれについて紹介します。
先に紹介してきたように、YouTube広告には認知、比較検討、行動喚起に適した課金方式と広告種類が用意されています。目的に応じて適切に選ぶことで、費用対効果を高められるでしょう。
YouTube広告を始めたいものの費用面が不安な場合に特におすすめなのは、スキップ可能なインストリーム広告です。スキップされると費用が発生しないにもかかわらず、5秒間は自社商品を広告できます。
YouTube広告では、YouTubeユーザーの属性、行動だけでなく、Google広告やGoogleでの検索行動などを含めたターゲッティング用ビッグデータが構築されているといわれています。実際、YouTube広告のターゲティング精度に対する広告主の評価は、総じて高い状態です。
YouTube広告では、年齢・性別・地域・行動パターン・趣味嗜好など、多くの条件を選んで組み合わせられます。自社商品に関連の深いユーザーにアプローチできれば、費用対効果を高められるでしょう。
YouTubeの利用者は、世界で20億人以上といわれています。日本国内に限っても、2020年時点での月間利用者数は6,500万人を超え、巨大なプラットフォームに成長しています。
特に10代〜20代の利用率は95%以上と圧倒的に高いため、これらの若年層を対象にしたビジネスをおこなう場合には、チャネルのひとつとしてYouTube広告が欠かせません。
動画広告はテキストのみのリスティング広告やテキストと画像のディスプレイ広告などに比べて、訴求力が高いことがメリットです。動画ならでは構成と演出で視聴者の興味や関心を引き付け、コンバージョンにつながる行動を起こしてもらえます。
ただし、動画広告の制作は費用と手間がかかることに注意が必要です。リサーチなしに安易に制作してしまえば、思うような成果は上がらず、損害が大きくなってしまうでしょう。必要に応じて、Webマーケティングの知見を持つ制作会社やWeb広告の代理店を利用することが、低リスクで効果的な広告制作のポイントです。
広告運用の目的によって、重視するべきKPI(中間目標)は変わります。ここでは、認知、比較検討、行動のそれぞれで有効なYouTube広告の指標やレポートを紹介します。
なお、YouTube広告の仕組み上、問い合わせや商品購入、会員登録などのコンバージョンまで直接到達できません。そのため、これらは最終目標であるKGIとして扱い、ここではYouTube広告運用で重要な指標をKPIとして紹介します。
認知の測定に使われることが多いKPIは以下のとおりです。
KPI | 意味 |
アクティブビュー | ユーザーの視認範囲に広告が表示された数 |
視聴回数 | 動画広告が再生または視聴された回数 |
総再生回数 | ユーザーが動画広告を視聴した時間(秒) |
ユニークユーザー数 | 動画広告をみたユーザーの数 (アカウントによる識別・カウント) |
ユニーク視聴者数(Cookie) | 動画広告をみたユーザーの数 (Cookieによる識別・カウント) ※Cookieとは、ブラウザに保存されている閲覧履歴などによるユーザーの識別情報のこと |
ユーザーあたりの平均表示頻度 | 一定期間の間に同一ユーザーが広告をみた平均回数 (アカウントによる識別・カウント) |
Cookie あたりの平均表示頻度 | 一定期間の間に同一ユーザーが広告をみた平均回数 (Cookieによる識別・カウント) |
認知の測定では、視聴者がどのくらい自社広告を見たかを重視します。したがって、視聴回数や総再生回数などがKPIとしてよく用いられます。
比較検討の測定に用いられることの多いKPIは以下のとおりです。
KPI | 意味 |
平均総再生時間 /インプレッション |
インプレッション1回あたりの平均視聴時間(秒) |
動画の再生に関する指標(動画再生率レポート) | 全体の一定割合まで再生された数 25%、50%、75%、100%に分けて集計されているため、比較検討の度合いを推測できる |
広告視聴後のチャンネル登録数 | 広告視聴後に広告主のチャンネルを登録した数 ブランドに関心・好感を持っていることを示す |
高評価の数 | 広告主の動画広告を評価した数 |
動画視聴後の共有数 | ユーザーが動画を共有した数 |
比較検討の測定では、動画広告に対する興味や関心の高さを、平均視聴時間などの指標で判断します。また、チャンネル登録数や高評価の数などにより、購入先の企業として評価されているか推測します。
行動の測定に用いられることの多い指標は以下のとおりです。
KPI | 意味 |
クリック数 | 動画広告をクリックした回数 |
クリック率 | 広告がクリックされた回数÷広告の表示回数 |
エンゲージメント数 | 動画広告が10秒間以上視聴された回数 購入意欲を推測するデータとして活用できる |
エンゲージ ビュー | 動画広告をスキップなしで10秒間以上視聴した後、計測期間中にコンバージョンに至った数 |
行動の測定には、動画広告をクリックして自社サイトに遷移した数や、計測期間中にコンバージョンに至った数などの指標を用います。
行動の測定では、YouTube広告のデータ以外に、自社で管理している売上や会員登録数、問い合わせ数などを使うこともあります。この場合は、広告による成果なのか判定するために、YouTube広告の指標と比較して相関関係を分析することが必要です。
YouTube広告を効果的に活用するには、広告制作と分析ツールを使った改善が重要です。2つのポイントについて詳しく解説します。
YouTube広告運用では、冒頭の5秒間が成果を大きく左右します。はじめの5秒間はスキップ可能な広告でも流れるため、動画視聴を続けるかどうかの分かれ目になるからです。また、スキップ不可の動画でも、ユーザーが抱く関心の高さや全体の印象が大きく変わります。
しかし、広告制作の段階で、事前にユーザーの反応が推測できるとは限りません。そこで、冒頭の構成を変えた広告を2つ以上制作し、実際に広告配信を行います。成果が出たほうのパターンを採用することで、費用対効果を高められます。
ABテストを実施する際は、1~2つ程度の変更点に絞りましょう。一度にたくさんの項目を変えると、なぜ成果が上がったのか分析しにくくなるからです。
YouTubeはGoogle広告とリンクしているため、さまざまな分析ツールを活用できます。YouTube広告の配信に欠かせない代表的なツールは、YouTubeアナリティクス、Googleアナリティクス、Googleトレンドの3つです。
いずれもアカウントを開設すれば無料で利用できるため、ぜひ利用しましょう。それぞれの特徴やメリットは以下のとおりです。
YouTubeアナリティクスは主にチャンネル運営者向けの分析ツールですが、YouTube広告の運用にも活用可能です。
たとえば、どの動画やチャンネルで広告を視聴したのかがわかります。これによって視聴者層の興味や関心が推測できます。また、プレースメント指定で配信先を絞り込むことで、見込み度の高いユーザーに効率的に広告を配信できるようになるでしょう。
また、広告視聴者がYouTube検索で使用したキーワードもわかります。これらを分析すれば、キーワードターゲティングの精度を向上させ、費用対効果を高められます。
YouTube広告経由で自社サイトに誘導できたユーザー数などを計測するために使います。また、Googleアカウントで紐づけられた場合、YouTubeの視聴者がGoogleでどのようなキーワードで検索したかなどの情報も分析可能です。
Googleトレンドはブランドや商品の認知度を確認できるツールです。たとえば、動画広告の配信前と配信後で認知度を比較すると、広告効果を確かめられます。また、Googleトレンドでトレンド情報を調査して、動画制作や広告配信に反映させられます。
このように便利なツールが用意されていますが、広告運用を始めたばかりでは、使いこなせないこともよくあることです。また、より高い精度の分析をおこないたい場合もあるでしょう。そのような際は、マーケティングに知見がある制作会社やWeb広告の代理店に依頼するのもよい方法です。
YouTubeは全世界で20億人が利用しているサービスです。目的に合わせて広告種類や課金方法を選ぶことで、費用対効果の高い広告運用を実現できます。ビジネスにYouTube広告が合っていると思ったら、まずは少額の予算でスタートしてみましょう。
Webマーケティングのサポートをおこなってきた弊社なら、YouTube広告出稿もお手伝いできるので、ぜひご相談ください。