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2023.8.14 (更新日:2024.8.28)
弁護士の広告規制は、弁護士の品位と信用を保つために重要です。
また、弁護士の広告規制は、日本弁護士連合会(日弁連)の広告規定の内容が深く関わっています。
そこで、今回の記事では、以下の内容について解説します。
・弁護士と広告の歴史
・日弁連広告規程の内容
・日弁連広告規定に違反した場合の制裁
・弁護士の広告に有効なWebマーケティング
弁護士で集客にお困りの方は、こちらの記事を参考にしてください。
「弁護士の集客方法は?効果的なWebマーケティングを解説」
目次
弁護士の広告規制には、日本弁護士連盟会(以下、日弁連)が深く関わっています。
まずは、時代によって、広告規制が異なってきたので以下のそれぞれの時代での広告規制について解説します。
・日弁連発足当時
・1987年の広告許容基準
・2000年の弁護士広告の自由化
1949年に日弁連が設立された際、弁護士による広告は一切禁じられました。
この時期、弁護士の広告に関する明確な規則は存在していなかったのですが、日弁連の設立と同時に、広告の全面禁止が弁護士倫理の一部として確立されました。
この禁止の理由として、広告行為が弁護士の品位を損ねるとの考えがあったとされているからです。
1987年には、弁護士による広告の全面禁止が市民の側には不評であったため、条件付きで弁護士による広告を認める「広告許容基準」が市民の要望にて新設されました。
広告許容基準は、広告に記載できる内容が基本的な情報に限られており、弁護士事務所の特徴を広告から読み取ることができないなど、依然として厳しい規制が続いていました。
1987年の広告許容基準が確立された後も、弁護士広告の規制に対する緩和の動きが続いていきました。
そして、2000年には、弁護士広告の全面禁止が解消され、弁護士たちは基本的に自由に広告活動を展開できるようになりました。
今では、多くの弁護士事務所がホームページやリスティング広告、SEOなどでWebマーケティングをしています。
弁護士の数が増え、競争が激化していく中でWebマーケティングは当たり前になりつつあります。
次の章では、現在の広告規定の内容を詳細に解説します。
日弁連は、弁護士の広告に深く関わっており広告規定の内容を示しています。
ここで紹介する広告規定の内容は、以下の7つです。
・禁止される広告
・表示できない広告事項
・マーケティング手法の規制
・広告の対象者へ価値のあるものの提供を禁止
・規定に違反する広告活動に対しての支援の禁止
・広告中に表示しなければいけない事項
・広告物の保存義務
日弁連には、禁止される広告について詳しく説明されています。
禁止される広告は、以下の7つです。
・事実に合致していない広告
・誘導や誤認のおそれのある広告
・過度な期待を抱かせる広告
・困惑させたり、過度な不安をあおる広告
・特定の弁護士と比較した広告
・法令や日弁連等の規則に違反する広告
・弁護士の品位や信用を損なう恐れのある広告
弁護士広告における「事実に合致していない広告」の禁止は、信頼性の確保と誤解の防止のために重要な規制です。
具体的には、広告内容が現実と一致しない、誇張された情報を提供してはならないという内容です。
例えば、ある法律事務所が「全てのケースで勝訴保証!」といった広告を出した場合、これは事実に基づいていない可能性が高いです。なぜなら、法律の世界では100%の勝訴保証は現実的には存在しないからです。
このような広告は、依頼者に誤った期待を抱かせる恐れがあり、最終的には弁護士の信用失墜につながる可能性があります。
そのため、法律事務所が広告を行う際には、事実に基づいた真実の情報提供が求められるのです。
弁護士広告において「誘導や誤認のおそれのある広告」は、規制されるべき内容とされています。これは、広告内容が誤解を招く表現や、依頼者を誤った方向に誘導する可能性があるからです。
例えば、法律事務所が「当事務所は日本一の弁護士が在籍しています」といった広告を掲載した場合、この「日本一」の基準が明確でないと、依頼者に誤認を与える可能性があります。
そのため、法律事務所が広告を行う際には、具体的な基準を示し、明確で誤解を招かない表現を心がける必要があります。
弁護士広告における「過度な期待を抱かせる広告」は、依頼者に対して現実とは異なる期待を抱かせる可能性のある表現を含むものです。これには、勝訴率の保証や、特定の結果を約束するような表現が含まれます。
法律事務所の広告でよく見られる例として、「100%勝訴します!」や「最短で解決します!」などの表現が挙げられます。
上記の表現では、勝訴を約束する表現が使われており、現実とは異なる期待を抱かせる可能性があるため、避けるべきです。法律事務所が広告を行う際には、現実的な表現を用い、過度な期待を抱かせないように注意が必要です。
弁護士広告における「困惑させたり、過度な不安をあおる広告」とは、依頼者に対して不必要な混乱や恐れを引き起こす可能性のある表現を含むものです。
法律事務所の広告でこのような誤りが発生する典型的な例として、「今すぐ行動しなければ大変なことになります!」や「あなたも罪に問われるかもしれません!」などの表現が挙げられます。
上記のような表現は、不必要な恐れを引き起こす可能性のある表現が使われており、依頼者を困惑させる可能性があるため、避けるべきです。
法律事務所が広告を行う際には、依頼者に対して適切な情報提供を心がけ、不必要な混乱や恐れを引き起こさないように注意が必要です。
弁護士広告において、特定の弁護士や他の法律事務所との比較を行う広告は、倫理的に問題があるとされています。
例えば、ある法律事務所が「当事務所は○○弁護士よりも早く解決します!」といった広告を掲載した場合、これは特定の弁護士との比較に当たります。
弁護士広告においては、法令や日弁連などの規則に違反する広告は厳しく禁止されています。
例として、法律事務所が「特許訴訟では日本一の実績!」といった広告を掲載した場合、他の事務所との比較になり、具体的な証拠がなければ規則に反する可能性があります。
弁護士の広告は、その品位や信用を損なうおそれのある内容を含んではいけません。これは、弁護士が社会的な信用を基盤とした職業であるため、その信用を損なうような広告は、業界全体の信頼をも揺るがす可能性があるからです。
例えば、法律事務所が「100%勝訴保証!」といった広告を掲載した場合、これは現実的には不可能な約束であり、クライアントに誤った期待を抱かせる可能性があります。
過剰な表現や誤った情報は、クライアントの信頼を失うだけでなく、業界全体の信頼をも損なう可能性があるため、慎重に取り扱うべきです。
表示できない広告事項として、以下の4つがあります。
・訴訟の勝訴率
・顧問先や依頼者
・受任中の事件
・過去に取り扱った事件や関与した事件
法律事務所の広告において、訴訟の勝訴率を強調することは一般的に禁止されています。
この禁止の理由は、勝訴率には多くの変動要素があり、それを単純に数字で表現することが困難であるからです。
例えば、ある法律事務所が「勝訴率90%」と広告する場合、これはクライアントに対して誤った期待を抱かせる可能性があります。なぜなら、勝訴率は取り扱った事件の種類、難易度、対応した弁護士の経験など、多岐にわたる要素に影響されるため、単純な数字で表すことができないからです。
このように、弁護士の倫理規程に反する可能性があるため、慎重に取り扱う必要があります。
法律事務所の広告において、顧問先や依頼者の情報を公開することは、一般的に制限されています。
この制限の背景は、クライアントのプライバシー保護と弁護士の信用保持です。
例えば、ある法律事務所が大手企業を顧問先としている場合、その情報を広告に使用することは、他のクライアントに対しての信頼性を高める効果がある可能性があります。
しかし、このような情報公開は、顧問先企業の同意がない限り、倫理的に問題があると判断されます。
弁護士や法律事務所が受任中の事件に関する情報を広告に使用することは、制限されています。
例として、ある法律事務所が広く注目されている事件を受任している場合、その情報を広告に使用することで注目を集めることができるかもしれません。しかし、このような行為は、クライアントの機密性を侵害し、弁護士の専門的な倫理を損なう可能性があります。
受任中の事件の情報を広告に使用する際は、クライアントのプライバシーと弁護士の倫理規範を尊重する必要があります。
弁護士や法律事務所が過去に取り扱った事件や関与した事件についての情報を広告に使用する際には、特定の規制が適用されます。
例として、ある法律事務所が過去に成功した大きな訴訟を広告に取り入れる場合、その情報が正確であるとしても、クライアントの同意なしにその情報を公開することは問題となる場合があります。
そのため、クライアントの同意を得る行動は、広告活動において重要な側面です。
弁護士や弁護士法人は、一般の人々(現在や過去の依頼者、友人、親族などを除く)に対して、以下のマーケティング手法が規制されています。
・訪問や電話による広告
・承認を得ずに電子メールや郵便等による広告
弁護士や弁護士法人は、一般の人々に対して、訪問や電話による広告が規制されています。
しかし、特例が以下の3つあります。
1.法律事務の依頼を希望する者からの請求がある場合。
2.刑事事件や少年事件において、本人以外の弁護人選任権を有する者からの請求がある場合。
3.公益上の必要があるとして、所属弁護士会の承認を得た場合。
面識のない人に対して、その人の承認を得ずに電子メールによる広告を行うことも禁止されています。
さらに、特定の事件の当事者や利害関係者で面識のない者に対して、郵便など直接到達する方法で依頼を勧誘する広告も禁止されています。
ただし、公益上の必要があるとして所属弁護士会の承認を得た場合は例外となります。
例えば、法律事務所が新しいサービスを提供する際に、無差別に電話やメールで広告を送ることは規制される内容です。
しかし、過去の依頼者や友人など、既に関係のある人々に対しては可能です。
特定の刑事事件に関連して、弁護人を探している人からの直接の依頼に応じることも許されています。
弁護士の広告では、広告の対象者へ価値のあるものの提供を禁止しています。
例えば、法律事務所が新しいクライアントを獲得するために、無料の法律相談だけでなく、高価なギフトや割引クーポンなどを提供することは、違反行為です。
社会的儀礼の範囲内であれば、名刺交換や挨拶状の送付などは許される可能性がありますが、それを超える物の提供は、弁護士の品位を損なうおそれがあるとされ、禁止されています。
規定に違反する広告活動に対しての支援が禁止されています。
弁護士や弁護士法人が、自身の業務に関連する情報の伝達や表示行為で、広告規程に違反する行為に対して、金銭やその他の利益を供与したり、協力したりしてはならないというものです。
具体的な法律事務所の例として、弁護士が第三者のマーケティング会社に依頼して、不正な広告や誤認を招くような宣伝活動を行わせる場合などが挙げられます。
弁護士の場合、広告中に氏名(職務上の氏名を使用している場合はその氏名)と所属弁護士会を表示する必要があります。
一方、弁護士法人の場合は、広告中に法人の名称、主たる法律事務所の名称または広告に関連する法律事務所の名称、そして所属弁護士会を表示しなければならないとされています。
例えば、ある法律事務所が地域の新聞に広告を掲載する際、その広告には法律事務所の正式名称、主たる事務所の名称、そして所在地域の弁護士会の名前が明記されなければなりません。
また、複数の弁護士会に所属している場合でも、主たる事務所の所在地域における弁護士会の名前の表示で足りるとされています。
弁護士は、広告物の保存が義務付けられています。
具体的には、広告をした弁護士や弁護士法人は、広告物自体またはその複製、写真などの代替記録、広告をした日時、場所、送付先などの広告方法に関する記録、同意を証する書面などを、広告が終了した時から三年間保存しなければいけません。
例えば、ある法律事務所が地域の雑誌に広告を掲載した場合、その広告の掲載内容や掲載日、掲載された雑誌の名前などの詳細な記録を三年間保管する必要があります。また、特定の同意が必要な広告の場合は、その同意を示す書類も同様に三年間保管しなければなりません。
(参考:日本弁護士連合会)
広告規定に違反した場合は、以下の制裁が取られることがあります。
・違反広告の中止命令や公表措置
・弁護士会による懲戒処分の対象
・詐欺罪に問われる
日弁連広告規定によると、弁護士会は所属弁護士に対して、広告に関する調査を行う権限を持っており、弁護士はその調査に協力しなければならないとされています。
例えば、ある法律事務所が広告で不正確な情報を提供している疑いがある場合、弁護士会はその事実を確認するために調査を行い、広告内容が事実に合致していることを証明するよう求めることができます。
もし広告内容が事実に合致していないと証明できなかった場合、弁護士会はその広告を規程に該当するものとみなし、違反行為の中止や排除などの必要な措置を命じることができます。
さらに、規程に違反した弁護士が命令に従わない場合や、違反行為の中止や排除が困難な場合には、弁護士会はその事実と理由を公表することが可能です。
この規定は他の弁護士会との連携も考慮しており、違反行為があると思われる場合には、その旨を通知し、相互に協力しなければならないとされています。
弁護士が広告規程に違反すると、日弁連の規則に反する行為とみなされ、弁護士法第56条第1項に基づき、懲戒の対象となる可能性があります。
このような違反が認められた場合、その違反の重大性に応じて、弁護士法第57条第1項に定められた以下の4つの懲戒処分のいずれかが適用されることになります。
①戒告:軽い警告としての処分
②業務停止:最長2年間の業務の一時停止
③退会命令:弁護士会からの退会を命じる処分
④除名:弁護士資格の剥奪
広告において虚偽の内容を掲載し、それによって人々を欺いて依頼を受け、報酬を得るような行為は、刑法上の詐欺罪(刑法第246条第1項)に該当する可能性があります。
この場合、最大で「10年以下の懲役」の刑罰が科されることがあります。
弁護士が広告による詐欺罪で起訴されるのは非常に稀な例ですが、広告活動においては法的な規範を厳守し、慎重に行動する必要があります。
(参考:日本弁護士連合会)
弁護士の集客に関して、詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
「弁護士の集客方法は?効果的なWebマーケティングを解説」
弁護士の広告に有効なWebマーケティング手法は以下の4つです。
・SEO
・ブログ
・SNS
・リスティング広告
SEOは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで上位表示されることを目指す手法です。
多くの人々が法律の問題やトラブルを抱えたとき、まずはインターネットで情報を探すため、検索エンジンで上位表示されることで、より多くの潜在顧客にアクセスしてもらうことが可能となります。
そして、SEOを成功させるには、キーワード選択が重要です。
例えば、「債務整理とは」や「個人再生 相談」など、自身の事務所や業務に関連するキーワードを選び、それをホームページやブログ記事に組み込むことが必要です。
また、Googleマップの登録や、専門性を示す資料の掲載など、顧客にとって有益な情報を提供することも重要です。
ブログは、弁護士の広告において非常に効果的な手法です。
ブログを通じて、自身の専門知識や経験を共有することで、信頼関係を築くことができます。
ブログの記事作成においては、顧客が抱える問題や悩みに対する解決策を提供する内容が効果的です。
例えば、離婚問題や労働問題など、特定の法律問題に関する具体的なアドバイスを提供することで、顧客からの信頼を得ることができます。
SNSも、弁護士の広告に有効な手段です。
例えば、「法律相談はこちら」といった表現が含まれるSNS投稿は、顧客を引き付ける目的があると見なされる場合、弁護士広告として扱われることがあります。
その際、プロフィールなどに本名や所属弁護士会の表示が必要となります。
しかし、弁護士が匿名で投稿し、顧客を引き付ける意図がない場合には、このような規制は適用されません。また、閲覧者から弁護士であることの証明を求められても、それに応じる義務は存在しません。
弁護士事務所の集客において、リスティング広告は非常に有効な手段となりますが、広告文の内容には注意しなければいけません。
リスティング広告は、弁護士としての特定の専門分野や提供するサービスに合わせたキーワードを設定することで、よりターゲットに絞った集客が可能となります。
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