SNS運用
2018.9.13 (更新日:2022.8.1)
SNSとはソーシャル・ネットワーキング・サービスの略で、双方の意思表示が可能なサービスのことを指します。
そのSNSを利用したマーケティング方法を総称してSNSマーケティングと呼び、近年ではSNSマーケティングの効果が増大してきました。
本記事ではSNSマーケティングとはどういったものかを説明していきます。ぜひ今から使えるSNSマーケティングの方法を試してみてくださいね。
目次
SNSマーケティングを簡潔に説明するなら、SNSを利用した集客戦略です。
スマートフォンの普及に伴うSNSの利用者増加により、マーケティング手法も変化しています。
まず、SNSで個人を個人がプロデュースしていくということが日常になり、追従するように企業もSNSマーケティングに乗りだしました。
SNS流行初期は、商品の特徴を並べてユーザーの興味関心を引く方法が主流でしたが、企業各社が参入する中、淡々と商品紹介をしても目の肥えたユーザーの関心を引くことはできなくなっています。
だからこそ消費者同士が自ら購入意欲を高めてくれるSNSマーケティングの手法を最大限取り入れることが大切なのです。
インターネットがまだ完全に普及していない20年ほど前は、個人の発言の拡散力が低いため購入した商品やサービスが「意外と使いづらかった」というネガティブな要素を含め、口コミはシェアされにくい環境でした。
ところが、インターネットが普及してユーザー数の多いSNSに感想を書くことができる今「人が集まるところで口コミをシェアさせる」マーケティングが十分に可能なのです。
しかし、匿名性が高いSNSが普及している中、以前主流であったマーケティング手法「この商品は好評だし、みんなが買っているから私も」は、厳しくなったといえます。
企業は会社から「作り出された好評の声」を消費者に聞かせても、SNSで実際の声を調べることができるため、購買に結び付かないことを実体験しています。
だからこそ「本物の声を拾えるSNS」で集客を行うことが欠かせないのです。
インターネットが普及し始めた2000年、電通が発表した基本的な消費者の購買行動プロセスは「AISAS」でした。
AISASとはそれぞれの頭文字を合わせたもので、
インターネットが含まれているプロセスですから検索はあるのですが、あくまでもGoogleやYahoo!などでの検索エンジン利用です。最終的にShareというプロセスはあるものの、ブログや実際のリアルな口コミが主流でありSNSの共有とは意味合いが異なりました。
Shareはインターネットの普及率が低いため、実際にはあまりされませんでした。あくまでもインターネットはSearchするものだったのです。
現代は反対にSearchという行動は起きにくくなり、検索されるとしてもGoogleやYahoo!などの検索エンジンだけではなく、SNSを通してSearchすることも増えています。
主なSNSの種類とそれぞれの特徴を後述しますが、ソーシャルメディアのアカウント数は累計で日本の人口を超えるほど多いのです。
そして、自社ホームページのSEOやSEM対策をしていても、条件次第ではソーシャルメディアからの流入のほうが見込める現在、SNSマーケティングを行わないと損をするだけです。
ソーシャルメディアのアカウントは誰でも持つことができます。
当然ですが、個人の場合は自分の興味のあるものをよく見る傾向です。そして、その対象物に興味のある様々な人たちがプラットフォームを利用し、意見交換をする場として成り立っているのがTwitterやFacebook、Instagramなどのソーシャルメディアなのです。
その特性を理解しないまま、SNSマーケティングに関する誤った認識を持ってしまうことがあります。SNSマーケティングを企業戦略として取り入れたいか悩んでいるという場合に特に多く、また悩む点が間違っているケースも多いです。
そこで今回は、実際に相談を受けた2つの疑問点を説明していきます。
●SNSでの発言は炎上するリスクがあり危険。どのような表現、言葉で炎上するかは理解できないからリスクが大きすぎるという疑問。
●SNSマーケティングとは外部のソーシャルメディアでバズらなければ、全く効果がないのではという疑問。
バズらなければダメという観念と、シェアされすぎることで炎上するという相反関係になっています。
ですがこれはSNSの1側面を見ているだけにしか過ぎず、SNSの可能性を限定してしまっている状態です。
先ほどお伝えしたようにSNSのアカウントは個人で自由に作成できます。
ユーザーは興味のあるものとないものが存在しており、興味は個人によって違うものですよね。趣味が狭く深い人の間に流行る情報と、広く浅く様々なことを知っておきたい人の間に流行る情報は、やはり違います。
SNS上でのバズや炎上する以外の情報も消費者は検索していますし、数は増えたとはいえSNS上だけで検索している訳でもありません。
確かに企業アカウントであれば不誠実な書き込みは炎上しやすいでしょう。しかし通常は、企業の公式アカウントから呟かれる情報は信頼性が高く、SNSマーケティングは成功しやすい状況です。
現状、SNSマーケティングに関するネガティブなイメージが強すぎて、なかなか取り入れることができないという企業が多いことも事実です。
一昔前はテレビでCMなどを利用して企業が宣伝したい情報をユーザーに届けるという形だったのに対し、個人の発信力をそれぞれが持っているSNS流行期はユーザー目線で情報を発信する必要が出てきました。これを無視してしまってブランドのイメージアップのみを促す宣伝をしていれば、またたく間にSNSでユーザーの口コミが流れだすでしょう。
企業がSNSマーケティングを取り入れるのは、ブランドのイメージ向上以外に、集客や販促を目的とするケースも当然あります。
ユーザーが主体となるSNSマーケティングは、知名度や資金が低い企業でも最小限のコストで集客できる可能性が十分にあります。ユーザーにどれだけ寄り添えるかが鍵を握っているのです。
LINE | ||||
ユーザー数(日本国内) | 2,800万人 | 4,500万人 | 2,000万人 | 7,300万人 |
データ参照元:https://gaiax-socialmedialab.jp/post-30833/
Facebookは個人のアカウントよりも企業のアカウントが多いSNS。2018年前半に個人情報が流出した問題からFacebookは厳しい時期を過ごしましたが、ユーザー数は現在増加傾向にあります。
個人のアカウントが多いTwitterは、ユーザー同士のつながりがゆるいことからSNS疲れしにくい特徴があります。言語によって制限している文字数の解除をするなど柔軟な対応も受け、世界各国で流行しているSNSです。
文字数制限は書き込みを端的に表現できるので、有益な情報を早く、短く、簡単に配信・取得できるのが最大の強みです。
Instagram開始当初は個人アカウントが多い印象でしたが、広告の企業利用が可能になり、インフルエンサーを利用した企業の広告塔としても活用されています。
タグづけやシェアを可能にするなど、機能を増やし続け、ユーザー数も大きく拡大中のSNSです。
ダウンロード数が7300万人を突破したLINE。30代までの若い層では、メールアドレスより電話番号よりLINEを使うという人が実に90%以上になっています。
LINE@など、LINEの展開する他のサービスも注目が集まっており、もはやビジネスにも不可欠なツールとして定着しました。
ユーザーが集まっているSNSはいくつもありますが、一体どれから手をつければいいのでしょうか?
実はSNSマーケティングを始める前に考えておきたいことがいくつかあります。
1つ目は、SNSマーケティングにおいてどのような効果を得たいかということ。
どのような効果を期待するかで選ぶべきSNSは変化します。
SNSマーケティングで得たい効果を決めたら、それに合うターゲット設定や各SNSの特徴を把握しましょう。また、どのような戦略手段を展開するかも大まかに決めておいた方が良いでしょう。
参考になるよう各SNSの特徴を表にしました。
LINE | ||||
種類 | テキスト リンク 画像 動画 |
テキスト(文字数) リンク 画像 動画 |
画像 動画 ストーリーズ |
会話 テキスト 画像 リンク |
特徴 | 個人情報から細かいターゲット設定が可能 | リアルタイムのネタが多い | ブランドのイメージ向上として写真を活用できる | 年齢層に関係なくアプローチできる |
上記を参考にしつつ、戦略に合ったSNSを見極めていくのがSNSマーケティングの第一歩です。
ここまではSNSマーケティングのみに目を向けてきましたが、SNSマーケティングはコンテンツマーケティングと同時に活用することができます。
コンテンツマーケティングには「ストックコンテンツ」と「フローコンテンツ」の2種類があります。
ストックコンテンツとは、時間経過で消耗しないコンテンツのことであり、フローコンテンツは、SNSに投稿されるような瞬間のスピード力を備えた、消耗しやすいコンテンツのことです。
まずコンテンツマーケティングを網羅し、その上でSNSマーケティングを活用するのが一般的で、ウェブサイトでストックコンテンツを作り上げた後、SNSでそのサイトに流入させるというのが効果的なマーケティング方法です。
なぜSNSマーケティングを導入しようと思ったのかを振り返り、導入に至ったきっかけは何を望んだものだったのかを思い出していきましょう。それがゴールです。
ゴールをしっかり設定しておくと、何か問題に詰まった時の指標となります。
SNSマーケティングにどのような効果を期待しているのかを明確にすることで道順を最短にすることができるのです。
先ほどゴールを決めることが大切だと伝えましたが、SNSマーケティングに大事な目標は2点です。
1つ目はKPI「重要業績達成指標」で、2つ目はKGI「重要目標達成指標」です。
この2点の設定の有無がSNSマーケティングの成否を大きく左右することでしょう。
マーケティングを行う上で大切なのがペルソナ設定です。
SNSマーケティングにおけるペルソナ設定図は情報を伝えるべき相手の予想像です。
ペルソナを具体的に設定することで戦略が立てやすくなります。
年齢や性別など相手の情報を分析することで、流入してきたユーザーがどのような考えで閲覧しているのか想定済みになるので、マッチングの高いコンテンツを提供することができるのです。
ある程度投稿数を増やすと、どこにどのような人が集まっているかなどの分析をすることができます。
投稿の反応を分析することで、次回以降の投稿内容を改善したり、さらにユーザーの期待に応える投稿をすることができるでしょう。
最初に設定したペルソナを見直す機会にもなるので、毎日投稿の反応を分析することがSNSマーケティングの成功への近道です。
近年では企業や個人の知名度を上げるために、あえてSNSを炎上させるなどの手法が問題視される場面も目にします。
手法としては間違いとまではいえませんが、リスクがかなり高く、うまく炎上を回収できる対策を取らなければイメージダウンは避けられませんし、致命傷になる場合もあります。
SNSマーケティングにおいて炎上商法は超ハイリスクハイリターンです。
バズらせることは投稿者を一気に有名にするという観点からは優れています。ですが一瞬だけ有名になっても、その後忘れ去られるのであればそれは意味がありません。
大切なのは、投稿者と閲覧者が親密な関係になれるかということです。
後述しますが「SHARP株式会社」「株式会社タニタ」がその一例といえます。長期的にSNSの運用を視野に入れて、一発屋で終わらないよう具体的な対策をすることが必要です。
SNSマーケティングの準備に長時間かけてしまうと、運用するだけで精一杯という状況になる可能性があります。特に知識がない状況からSNSマーケティングを始めた未経験の企業にとっては、準備完了がゴールになってしまうケースもみられます。
準備完了からが、本当のSNSマーケティングの始まりです。運用、改善のPDCAを回し、ルーチン化する長い努力と時間は欠かせません。
運用メンバー次第ではありますが、自動化できるところは設定をし、手動業務を最小限に留め、より数値の見込める改善に集中することも必要でしょう。
例としてSNSで140字の限定される文字数で有名な「Twitter」で商品紹介をしつつ、面白く呟くことから若者に大人気な企業が「SHARP株式会社」と「株式会社タニタ」です。
SHARPといえば電化製品、タニタといえば健康に関する会社ですよね。
本来のターゲットは主婦層をはじめとする広範囲とはいえないターゲット層のはずです。
しかしこの2企業のTwitterアカウントは、企業アカウントなのにユーザーにとって身近な言葉を用いて呟いたり、会社の中身が見えるような面白い内容やイベント参加で10代をはじめとする若年齢層に人気なのです。
商品以外の人間性で共感を得て、どの年代にも身近に感じさせることで、SNSマーケティングの成功企業としてSNS場でも脚光を浴びています。その効果も順調で、商品購入率が上がった商品ばかりだといわれています。
このようにユーザー目線に立ったSNSの利用は、従来の戦略とは異なる年齢層にもアプローチすることができるのです。
個人のアカウントで拡散してもらえるような投稿は、一定数の共感が得られているといえるでしょう。そのためには、個人でも企業でも仲間意識を持たせられるような投稿を心がけることがひとつのポイントとなっています。
あまりビジネスライクすぎる投稿はユーザー目線では仲間意識を持ちにくい傾向があります。ただし、ビジネスライクのアカウントがたまに見せるお茶目な投稿はユーザーが仲間意識を持つきっかけにもなっているようです。
また、競合している会社の投稿の中で消費者に有益な情報があれば、それを自社アカウントで拡散するというのも1つの手で、一見競合会社の利益にしかならないようなことでも消費者にとっては「有益な情報を採算度外視で共有してくれるユーザー本位の会社」という印象になります。
SNS戦略において、仲間意識は成功への必須条件にもなりつつあります。
SNSマーケティングに欠かせない存在がハッシュタグで、少しでも興味を抱く可能性のある人に向け、投稿を見つけやすくするシステムですので、有効活用していきましょう。
またアカウントの中の違うコンテンツを見つけやすくさせるために、自分で作ったハッシュタグを使い、関連している投稿へ誘導するなんてこともできます。
SNSでは、インフルエンサーに協力してもらい製品を広めるという手法もあります。
これは既存のファンに商品の良さを伝えてもらい、ユーザーの購入意欲を高める手法です。
今まで紹介した中で最も効果的なものだと感じるかも知れませんが、この方法にはリスクも伴います。
金銭のやり取りが行われている可能性を示唆するユーザも中にはいますし、ユーザーはステマだと気づけば商品を購入するどころか、会社に負のイメージを抱きます。
インフルエンサーに協力してもらう際には、本人が紹介したいということが明確になるような投稿を心がけてもらうことが欠かせません。
若者に大人気の衣料品販売店GU。
ユーザーが自分のInstagramアカウントの投稿にハッシュタグをつけることで、写真をGUのアプリに連携することができるというサービスを開始しました。
リアルな着用方法をSNSでも確認することができ、販売促進につながったという活用事例があります。
SNSと自社のサービスを連動させることで販売促進を進めることもできるのです。
栃木県日光市で味噌のたまり漬けを販売する、梅沢梅太郎商店。
Facebookで社長自らが自社の味噌を使った朝食の写真を投稿し続けることで、特に30代女性と50代男性に支持を集めています。
愛情を持って長く配信し続けることで、認知向上に繋がった例です。
女性なら誰でも知っている下着通販大手のピーチ・ジョン。
今まで購入後のサポートは会社に直接電話をする時間に限られた方法のみでしたが、公式アカウント以外に対応用のTwitterアカウントを用意することでSNS上でのサポートを可能にしました。
SNSを介して迅速に対応することは、ブランドのイメージアップにつながるという活用例です。
SNSは相手が企業でも個人でも利用者は人間です。
一般的なマナーはやはりSNS上でも必要で、戦略事例やその効果からもわかるように、ソーシャルメディア上でもユーザーを不快にさせないことがSNSマーケティングの鍵となるでしょう。