YouTube広告
2018.10.17 (更新日:2022.7.23)
総務省の「平成28年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によれば、ネット系の動画の視聴時間は平成24年の6.8分から2倍以上長くなっています。
ネット系動画は、若い世代を中心に長く視聴されるようになっているのです。
その中でも、ネット系動画の代表といえるのがYouTubeであり、そのYouTubeを使った動画広告が注目されています。
とはいえ、YouTube動画にはどんな種類があってどんなメリット・デメリットがあるのか、はたまた費用はどのくらいかかるのか分からず、手を出すのをこまねいている企業担当者の方も多いのではないでしょうか。
この記事ではそんな疑問の回答を全てまとめています。この記事を読めば、あなたがYouTubeの動画広告を使うべきか判断できます。
目次
マーケティングを行うにあたって、広告配信先を視聴するユーザーの年齢層を知っておくことは重要です。
記載した図にあるように、PCやスマホで動画メディアを視聴するユーザーの割合は若い世代ほど多くなっていることが分かります。
特にこの表で最も若い15~19歳のユーザーに関しては、テレビで動画メディアを視聴している割合が85%に対して、スマホで動画を視聴するユーザーの割合も約80%とほぼ拮抗している点には注目すべきでしょう。
この年代より若い世代は、物心ついたときからPCやスマートフォンなどのデジタル機器に囲まれ、インターネット上での動画視聴に慣れ親しんでいます。
こういった若い世代が、消費者の中心となるころには、テレビとの差はさらに縮まるか、場合によっては逆転している可能性さえ否定できません。
YouTubeに広告を出稿する主なメリットとして以下3つがあげられます。
1つずつ解説します。
2017年2月の段階で、YouTubeの1日の全視聴時間は人類全体で1日に10億時間を突破したと公式ブログで発表されています。
それだけの視聴数を支えている理由は、スマートフォンやPC・インターネットなどの世界的な普及もさることながら、圧倒的なコンテンツ数にあります。
2016年時点で、YouTubeは1日あたり18.3億~21.5億もの動画がアップロードされていることを発表しました。
動画共有サイトなのでもちろんそのクオリティはバラバラですが、テレビをはるかに上回るコンテンツ数がこの視聴時間を後押ししていることは間違いありません。
広告する側としてみれば、それだけ多くのユーザーの目に触れる可能性が高いということです。
YouTubeの動画は、他のコンテンツと比べGoogleの検索結果で上位表示されやすいのもポイントです。
Googleでは、検索結果に並ぶコンテンツのバラエティを増やす目的から、YouTube動画を含める傾向にあります。
キーワードにもよりますが、検索結果1ページに対して数個の動画が掲載されます。
言い換えると、YouTube動画はGoogleの検索結果に対して一種のシード枠のようなものが与えられているわけです。これが、YouTube動画がGoogleの検索上位に表示されやすい理由です。
再生回数や「いいね」の数が多い動画の場合、ビッグワードと言われるような検索数の多いキーワードでも、一般的なSEOでは考えられないほどの短い期間で上位表示されることもあります。
企業とYouTuberがタイアップして作成された商品やサービスなどのプロモーション動画が増えており、それらは大きな成果をあげています。
一例として、おもちゃの製造・販売で知られる株式会社バンダイがYouTuberに依頼して配信した広告の例をみてみましょう。
このYouTube広告では、バンダイの自社製品「たまごっち」を宣伝。
認知度が大きく上昇した上、動画をみたユーザーのうち51.2%が「買いたい」「やや購入したい」と答えました。(非視聴者で同じ回答をしたのは30.3%)さらに実際に購入したユーザーも全体の3.3%に及びました。
参考:UUUM株式会社「YouTuberを活用したタイアップ動画の態度変容効果を検証」
また牛丼で有名な吉野家がYouTuberとタイアップした広告を配信したところ、好感度や関心度・利用意欲といった項目でポイントアップがみられたとのこと。
さらに、動画をみて実際に吉野家へ行ったという視聴者が全体の12.1%にも上りました。
このような成功例が数多く報告され、企業がタイアップする案件が増えているのです。
YouTubeでの広告によく使われるのが、Googleが運営するAdwordsを利用して配信されるTrueView広告です。
TrueView広告は、YouTube動画の再生中などに配信されます。
YouTubeの動画をよく見る方であれば、何度もこの広告を見たことがあるでしょう。TrueView広告では、ユーザーの属性や興味・関心などにターゲティングして配信することも可能です。
そうしてTrueView広告には、主にインストリーム・インサーチ・インディスプレイという3つの広告の種類があります。
以下それぞれの特徴とメリットについて解説します。それぞれの特徴を理解し、自社の希望に近い種類を選ぶようにしましょう。
(1)インストリーム
インストリーム広告とは、視聴しようとしたYouTube動画の前や視聴中に配信される動画形式の広告です。
映画館で本編が始まる前に流される映像広告、テレビ番組の間や終了後に流れるテレビCMに近い広告と言えば分かりやすいでしょうか。
YouTube動画のプレイヤー内で配信されるため「In-stream(ストリームの中)」と呼ばれています。
テレビCMなどのように映像を使って、多くの情報を伝えることができたり、視聴者の心をつかみやすかったりするのがまずこの種類のメリットです。
そしてインストリーム広告にも以下にあげる2つのタイプがあります。
1つ目は、ユーザーが5秒視聴するとスキップできるようになるタイプです。
動画の視聴時間が30秒経過する前に(30秒未満の動画なら動画完了前に)スキップされたら、広告主に課金が発生することはありません。
広告主からみると、配信先のYouTube動画の視聴者に対して少なくとも5秒間は広告を見てもらえる確率が高いこと、仮に5秒間みて「興味がない」と感じたユーザーは自らスキップしてくれるので無駄な課金が発生しにくいことがメリットです。
視聴者にすれば、関心がない広告をスキップして5秒後には視聴中の動画に戻れるため、ストレスが少ない広告とも言えます。
もう1つはスキップができないタイプ(ノンスキッパブル型)です。
さらにこのタイプには、動画の長さが15秒~最大30秒までの完全視聴型広告、最長6秒までのバンパー広告があります。
ノンスキッパブル型は、スキップ可能なタイプとは反対で、広告動画の最後まで視聴者にみてもらいやすいのがメリットです。(もともと視聴していた動画に戻るためには、広告を見終えるしかないため)裏を返せば視聴者はスキップできないことから、興味がない広告だとストレスがたまりやすく、結果的に広告対象にマイナスイメージを持ってしまいやすいともいえます。
そこでGoogleでは、完全視聴型は2018年までに廃止すると発表しています。完全視聴型では広告の動画の時間が長く、ユーザーがよりストレスをためやすいからです。
かわりに広告の時間が短いバンパー広告が、今後インストリーム広告の主流になっていくと予想されます。
インサーチ広告とは、YouTube内で動画をキーワード検索した際に、検索結果の上部に表示される動画広告のことです。
検索結果内に表示されるため「In-Search(検索結果の中)」と呼ばれています。
GoogleやYahoo!といった検索エンジンでキーワード検索をしたときに、検索結果に表示される広告と同様と考えれば分かりやすいでしょう。
検索結果に動画のサムネイルが表示されます。
インサーチ広告では、検索結果の最上部にサムネイルが表示されるため他の動画と比較して目立たせることができ、クリックしてもらいやすいのがメリットです。
YouTubeの動画をみていると、そのサイドに関連性が高いと考えられる動画が「関連動画」として表示されます。
関連動画内に表示されるのが、インディスプレイ広告です。広告ではない他の関連動画と並んで表示されます。
動画プレイヤー内で表示される「In-stream(ストリームの中)」に対して、PCやスマートフォンなどの「In-display(ディスプレイの中で)」で表示されるためインディスプレイ広告というわけですね。
インディスプレイ広告のメリットは、視聴中のコンテンツとの関連性の高さで表示されたるため、比較的その動画広告に興味を持ちやすい視聴者にクリックしてもらいやすいこと、再生したときにのみ料金が発生することがあげられます。
なおインサーチ広告・インディスプレイ広告は、正式には「True Viewディスカバリー広告」と改名されこちらの呼称が使われることが多くなっているので注意してください。
ちなみにどの動画広告も、個人の手が出せないほどの高額な費用がかかわるわけではありません。
くわしい説明は後述しますが、1回あたりの再生(広告によっては一定の再生時間の経過)などによって課金が行われます。
YouTubeで広告を配信する際は、配信対象を明確に定めることが成功の鍵となります。具体的なポイントは以下の2つです。
1つずつ解説しますね。
YouTubeの視聴者は、年齢や性別、趣味趣向さまざまです。そのため広告する商品やサービスに適したペルソナをきちんと設定し、広告を最適化する必要があります。
例えば比較的高い価格帯のチョコレート菓子なら、こういった商品にお金を惜しまない20~30代の働いている女性といったような感じです。
しっかりターゲティングを行い、そのペルソナに受けるコンテンツの作成を心掛けましょう。
YouTube広告を閲覧する視聴者は、Googleなどの検索エンジンでキーワード検索するユーザーと異なり、今すぐに何かを購入したいと考えているユーザーでは必ずしもない点には注意が必要です。
視聴者は、あくまで動画を視聴するのが目的の潜在的なユーザーです。潜在層に向けて、購入意欲を引き出すような広告の作りが必要となります。
YouTubeの広告動画でまず重要となるのが最初の5秒、つまり掴みにあたる部分です。
この間に、視聴者に何の広告なのかなどが伝わらないとユーザーにスキップされたり他の動画へ移動されたりしてしまいます。
まずは冒頭部分で何の広告か伝わるように商品や店舗の名前、ブランドのロゴをみせます。なにがしかのキャンペーンを展開しているときは、それがどうお得かといった簡単な概要を先にみせるのもよいでしょう。
視聴者に続きを見たいと思ってもらえる作りにするのが重要です。
また30秒以上の視聴で課金が発生するインストリーム広告では、課金が発生する前のタイミングで、ユーザーへ具体的な行動を促す必要があります。
例えば、商品やサービスを検索してほしいならその旨を具体的かつ簡潔に、30秒経過前に伝えます。
YouTube広告はお金がかかるというイメージを持っている方もいるようですが、実際はコンテンツさえ用意しておけば、個人でも比較的手軽に利用できます。
課金形態は広告種別によって異なり、具体的には以下の通りです。
※いずれも入札制で、入札額が高い方が表示されやすくなります。
スキップされずに30秒(30秒未満の場合は最後まで)視聴した際に課金が発生します。単価は1再生あたり10円~数十円あたりがよいと言われることが多いようです。
動画のサムネイルがクリックされて再生が開始された際に課金が行われます。
入札価格は10円前後から設定し、状況をみつつ単価を引き上げていくのがよいようです。
できるだけ競合しないキーワードを設定したり、広告のサムネイルを表示させる視聴者の興味・関心を広く設定したりするなどして、入札単価をコントロールするのが、入札価格を抑えるのに有効です。
ハンバー広告は、1,000回表示ごとに課金が行われます。それを前提に価格を設定しますが、広告の範囲が広いために、この金額が良いと言う目安を示すのは困難です。
最初のうちは許容できる範囲で余裕をもって価格を設定し、配信後に調整するのがよいでしょう。
また、いずれの種類を使う場合でも動画の製作費が別途かかる点には、気を付けてください。
制作会社に依頼する場合、一定以上の品質を確保するのであれば20万円以上、安くても5万円程度はみておく必要があります。
YouTube動画を自身で作って製作費を抑える方法もあります。一般的な動画形式が難しいのであれば、静止画を複数利用してスライドショーのような動画を作成し、テロップや音声をかぶせるかたちにするのも1つの手です。
まとめると、はじめに動画制作にまとまったお金がかかってしまうことがありますが、広告の配信自体は、大きな企業でないと手が出せないような高額ではありません。
YouTubeは若い世代を中心として視聴時間が長くなっており、そこで配信される広告も注目を浴びています。
テレビと比較してコンテンツ数が比較にならないほど多かったり、企業案件で実績を積み上げていたりするのが、YouTubeの動画広告が注目を集めている理由です。
そしてYouTube広告にも複数の種類があり、それぞれ特徴・費用が異なります。ここで紹介した内容をもとに、YouTube動画が希望に合う広告形式なのか、自社にあったYouTube広告の形式はどれかなど検討していただければ幸いです。